正直侮っていた。
金氏徹平、といえば日常品を色々と引っ付けていく”拡張していく”作家だ、ということで。
その変型した”日常品”をわざわざ1000円の交通費、それと同じ程度の入場料を払って見に行くべきなのか?という疑問が拭えなかった、ということで。
以前に児玉画廊で見ていたから、というのも横浜へ足を遠のかせていた、ということで。
見に行く理由(もしくは行かなかった理由)はどうであれ、結局は見に行った。
樹脂をぶっかけたやつとかコーヒーのやつとか、ふーんとかへぇーという『知っている』ものを目にした時の感嘆はあった。
しかし『知っている』とはいえ、初見のものがほとんどだと発見することも多くあるもので、元々はフリーソフトのような存在として成立しているであろう白地図やぬりえの”線”のコラージュはソース自体を切り刻み、再構成することで元々あった”線”の著作のようなものをものを失っていたし、その再構成された”線”は展示会場を囲み、新しい空間をつくっていた。ソースの各々の”線”の力をなくす一方で、空間の印象を変える”線”の力を感じさせた。
しかし圧巻であったのは金氏初挑戦という映像であった。
プロセスが描きこまれたドローイングの展示とそれが布石となり、できあがった30分のループ映像。
画面のサイズといい、散らばったプロセスが同時に動いていくのは、人間の目の位置では全てを追う事はできない。
はっきり言って見づらいが、そのことが見る側の視点を絞らさず、それがよいのだ。
画面(えづら)の善し悪しではなくとかはなく、アニメーションであるにも関わらず感覚としてしこりを残してくれた。
その映像は似て非なるものではあるが、ヴィジュアルという意味ではR.E.MのPVに近いような気がしている。

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