東京都現代美術館
池田亮司と同時開催、というか常設展示であるから料金据え置き1000円。普段美術館に行かない人、企画展を見にきた人にとっては常設なんて、と思われる事もあるだろうし、見る事なく帰宅の途につく人も多かろう。しかしMOT(東京都現代美術館)のコレクション侮るなかれ、と言える内容になっている。
現代美術館と名前がつくだけに戦後を中心にコレクションしているわけだが、近年購入したであろう作品は国内の著名なコマーシャルギャラリーから直で買い付けしてきたような作品ばかりで驚かされる。一時は経営危機に陥り作品購入費が0円にあった事もあったそうだが(これはリーマンショック以前の話)、その後積極的に高騰する前の若手の作品を購入したことで他の美術館では見られないようなラインナップとなっている(実際前回東京都現代美術館に来た時、”パラレルワールド”だか”屋上庭園”だかの際にコレクション展のリニューアルを見たときには、本当に驚いた)。
前述したが主に戦後の美術を中心に展開しているコレクションとはいえ、中には20世紀初頭の作品もあるわけで100年近い時間の隔たりがある作品群の展示であるが、展示構成の違和感はないし、収集だけでなく展示に対する学芸員の力があってのコレクション展と言える。特筆すべき作品と言われるとなかなか難しいが、個人的に未見であったアレックス・カッツの作品が見る事が出来たのは収穫であった。2006年の大阪国立国際美術館での”エッセンシャル・ペインティング”に出展されていた作家(リュック・タイマンスやローラ・オーエンズなど)は”エッセンシャル〜”が見に行けずとも、別の場所(主に東京)で見る事ができていたので、アレックス・カッツが見れたのは幸運だった(しかも東京都現代美術館の常設で見れるとは!)。またステラの作品は川村記念美術館で見るとおっさんくさいというか、古くさく見えてしまうのに現代美術館ではそうは見えないのが不思議だ(これも学芸員の展示構成の力か)。
上野の森美術館では日本屈指の現代美術コレクター、精神科医・高橋龍太郎氏のコレクション展”ネオテニー・ジャパン”が開催されている。こちらはコレクターであるから高橋氏の自腹で作品を購入している。出品されている作品群は価格が高騰する前であろう頃に購入したと思われる。購入時はそれほど高くはなかったかもしれない。しかしどの作品も教科書で見れるくらいのものだったり、美術館に入ってもおかしくないような作品ばかりだ。結果としてそうなっていったのかもしれないが作品の収集、展示、と高橋氏は個人レベルでメセナ活動をしたといっても言い過ぎではない。
リニューアルされた東京都現代美術館の常設展示での作品収集は学芸員長谷川祐子の存在が大きいはずだ。近年の作品の収集も日本で一番の凄腕学芸員がいてこそ、だとは思う。とはいえ購入費用は現代美術館の学芸員が捻出しているわけではなく、都民の血税によって賄われている。若手の作品を買うという事は育成にも繋がることは確かだが、いかんせん東京都現代美術館は民間ではない。メセナ活動に近いと言えど、やはりお金の出所が根本的に違う。現代美術は難解だと言われて久しいが、コレクションしていく作品について都民にもっと理解を求めていく事は作品の保存と同じくらい東京都現代美術館の重要な役割と言える。

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